2008年 10月 07日 ( 1 )

Japon, Je t'aime

今回帰国してじんわりと心に感じたことがあります。
それは、日本の人の包み込むような優しさと、心のこもったそれでいてさりげない気遣い。
今回なんだか自分でもびっくりするくらい沁みるように繊細に感じられています。

今回は子供と二人で経由便を利用したのですが、ロンドンから東京までの長い距離、男性のキャビンアテンダントの方がすごくいろいろ気遣ってくださいました。
東京に到着して、ロンドンで積み込まれたはずのベビーカーがとうとうコンベアーから出てこなかった時、ロストバゲージ担当の研修生の女性が、あちこちを奔走しながら探し回ったのち、その人のせいではないのに「本当に申し訳ありません」と頭を下げ、書類作りを手伝ってくれました。

家に着いたら休む間もなく疲れた身体を引きずりながら、国民健康保険の手続きに市役所に向かいました。窓口の方は、来庁者を1秒も待たせることなく窓口に迎え入れ、スピーディーで確実な仕事をしていました。書類の書き入れが間違っていても優しく訂正を促してくれ、海外からの転入届け→国民健康保険証の発行→年金の手続き→児童手当受給の手続きを、1時間足らずの驚異的な速さで終えることができました。それはまるで、車に乗って1時間の道のりを赤信号にたった一度もひっかかることなくたどり着いたような感覚でした。
健康保険を持って、子供連れで内科に行きましたが、順番まで時間があったのでちょっと外で待っていたら、窓口の人が「次ですよ」とわざわざ呼びに来てくれました。

昨日は、あるアーティストのコンサートに行きました。少し前から、その人の私設ファンクラブみたいな存在の女性とHPを通じて何度かやり取りをしていたので、会場で初めてその人に会いました。会うなり彼女はバッグから、そのアーティストの出演した貴重な番組をダビングしたDVDを何枚も取り出し、初めて会う私にくれました。それは、彼女が忙しい時間を割いて、会ったこともない私のために作ってくれたものでした。

今日は1年ぶりに地元の駅ビルの地下の食料品売り場に行きました。そこでは、野菜たち、魚たち、商品たちがみな、愛情を持って大切に並べられ扱われているのを感じました。野菜を積んだワゴンを持って商品を並べる人、テナントの販売員さん、レジの人、駐輪場の人、みんながみんな本当に幸せそうに、私はこの仕事が大好きですっていう態度で仕事をしていました。

帰国してから会う人会う人みんな笑顔で真心たっぷりの対応。この優しさたちはみな、色に例えると淡いパステルカラーのような感じでほわーんと漂っていて、睡眠不足や病気の疲れが一気に癒されていくような、心のヒーリング体験でした。
これはきっとこの国では当たり前のことなのですが、それが奇跡のような出来事に思えました。
みんなみんなとても楽しそうで素敵で涙が出そうになりました。

パリでこんな空気が感じられるところは正直言ってかなり少ないです。
極端にいえば「刺すか刺されるか」「やるかやられるか」みたいな殺気立った毒があちこちで立ち昇る街です。
自分の仕事に無関心無感動な人、私のせいじゃないと必ず言い訳する人、お金をもらうために厭々やっていると顔に書いてある人、人を不快な気分にさせることが死ぬほど好きな人、顔立ちや身なりで差別的な態度をする人、がたくさん溢れています。
パリに行ったはじめの頃、そのことはとてもショックでした。
渡仏する前に、お客様満足に関する仕事をしていたからなおさら、どうしてこの国の人は、自分も他人も気持ちよくなる仕事のやり方を知らないのだろう、と疑問でした。
滞在が長くなるにつれて、お国柄、として割り切ることでやり場のない怒りを抑えるようになり、ついには怒りの感覚も薄れ、嫌な思いをしても無感情になることで自分を守れるようになりました。

それが、ここにきて、こんな風にこの国への愛しさがひしひしと込み上げてくるのは、どういうわけなんでしょう。普段、怒りに対して無感情を装っている部分と引き換えに、優しさに対する感受性がやたらと強くなってしまったのでしょうか。
この優しい人たちと民族としてつながっていることを心から嬉しいと感じています。

P.S.・・・と言ってもパリで私がしょっちゅうひどい目にあっているというわけわけではありません。
幸運なことに、愛情豊かでかけがえのない人達に囲まれて暮らしていることを付け加えておきます。
[PR]
by degorgerie | 2008-10-07 00:14 | Comments(6)

パリのアコーディオニスト Rie のオフィシャルブログ


by Rie
プロフィールを見る